チャーシュー麺を求めて

長野県は安曇野に起居する私がチャーシュー麺とその他の趣味について綴る

大町市 俵屋

 大町市は長野県の北側にある市だ。しかし長野県内は各地、山々で隔たれるので、単純に方角で地域を分ける事は難しく、県の北西に位置する大町や白馬の辺りは大北(たいほく)と呼ばれている。

 美麻や八坂といった過疎村と合併し、またスキー場があるくらいの降雪もあるため、市政上で基本的にコストがかかる地域であるが、白馬のようなブランドやインバウンド需要があるわけでもなく、多少の移住者はあるが駅前はシャッター街少子化のなかで中学や高校が統合されている、というような日本のどこにでもあるような問題を、抱えつつも無個性、といえる場所である。

 

 その町にあって、この俵屋は数少ない繁盛店である。

そういう町、だからこそ、の繁盛店というのがあるのかもしれないし、そもそも繁盛店になるかどうかなんて中身は同じでも立地で変わる、サイコロを振って出た目で決まるようなそんな虚ろげなもののような気がしなくもない、が、なぜこの店が売れてるのか?と聞かれればその価格の安さ、があると思う。

 

 数年前に店舗を改装し、ガラス張りでコンクリート剥き出しの造りになった事で味わいの薄れたこの店であるが、それでも円安、インフレ、国債ジャブジャブ、に苦しむ日本にあって未だにラーメン一杯、なんと440円で提供している事に驚く。また、ランチは平日、休日の別なしに、770円で、ラーメン、チャーハン、餃子3つという逆詐欺のようなメニューがあり昼時はかなりの割合の客がそれを求めている。当然、差額で各種ラーメンに変更も可能だ。

 餃子もウリで、持ち帰りはもちろん、近場のスーパーでも購入でき、地元の味、と認知される名店である。

 

 今まで幾度となく訪れたこの店で、初めてチャーシュー麺を頼んだ。

 安くて素朴なラーメンだ。優しいスープに普通の具材、攻めないチャーシュー。あっさりと何事もなく食べ終わった。

そんなもんだし、それでいい。

店の親父は今日も赤塚不二夫にそっくりで、店員の女の子達は若くて驚く程にみなかわいい。かといって気取る様子も媚びる様子もなく、淡々と接客をこなしている。

 

ここはチャーシュー麺だけを頼む店じゃあ無いな、と思いながら店を後にした。

しかしこの俵屋が良い店なのは変わりない。

また違う楽しみ方をしようと思い帰路についた。